「薔薇」は私たちの生活には欠かせない、美しい花の代表的な存在で、花園のバラの花や、お祝いの花束、インテリアや洋服などのテキスタイルの花柄、香水や食べ物まで、バラをモチーフとしたものが沢山あります。
その「薔薇」の漢字の由来や意味は、遠い昔の歴史の中にありました。
薔薇の漢字の由来について
「薔薇」という漢字は、今から1000年以上前の平安時代に中国から入り、音読みでは「そうび」「しょうび」と読まれていました。古今和歌集でも「薔薇」は登場し、音読みで「そうび」と和歌にうたわれています。
元々漢語読みで、薔薇(しょうび)と読まれたこの漢字を、トゲのある低木の総称の「バラ」という音読みの当て字にしたことが、「薔薇」という漢字の由来とされています。
薔薇の漢字の意味
「薔薇」とは、バラ科バラ属のことで、低木で花をつける観賞用の植物を意味します。そして、バラの語源は、「いばら」の漢字である「茨・棘・荊」からきています。「バラ」の言葉の由来は、この「イバラ」からきています。
「うばら」「うまら」「むばら」と呼ばれる、カラタチなどの植物を含むトゲのある低木の総称でしたが、のちに「ばら」と呼ばれるようになりました。
薔薇の由来
この中国から日本に伝わった「バラ」の由来ですが、その歴史は古く古代文明に遡ります。紀元前5000年頃のメソポタミア文明の時代に既に記録があります。
また、紀元前30世紀から5世紀にかけて、エーゲ海のクレタ島で栄えたミノア文明のフレスコ画にも描かれ、古代ギリシャのホメロスが書いた詩にもバラが登場しています。
バラはそれほどまでに歴史が深く、私たちの生活に身近な植物でした。
バラは中世のヨーロッパで神聖なものとされ、赤いバラはキリストの血、白いバラは聖母マリアの象徴とされていました。
神に捧げる薬草として、修道院で育てられ、一般人は栽培することが禁止されていました。そこで、人々はバラに憧れて、絵画にも描かれるようになりました。
近代に入ると、一般の人々の間にもバラの栽培が普及し、フランスではナポレオンの王妃のジョセフィーヌがバラ園を作り、品種改良をして、様々な新種を作り出しました。
まとめ
「バラ」はこうして19世紀の西洋文化の花の象徴的存在となり、中国を通して「薔薇」という感じとともに日本に伝わったのです。日本では、この西洋バラを意味するものとして「薔薇(ばら)」という言葉が人々の間に定着していったのです。