アザミにはたくさんの種類があり、花の見た目が似ているものも多くあります。アザミというのはキク科アザミ属に類する植物の総称であり、固有種名ではありません。そのため一般的にアザミというとノアザミを指すことが多いようです。また、園芸で育てられている品種はそのノアザミを改良したドイツアザミであることがほとんどです。今回はそのノアザミの特徴と他のアザミとの違いを比較して紹介します。

ノアザミ アザミ 違い

ノアザミの特徴と他のアザミとの違い

ノアザミは本州、四国、九州の野山や道ばたに自生しています。同じような分布のアザミではモリアザミなどがあります。アザミは暑さにも寒さにも強いので日本のどこにでも咲いていて、園芸品種のドイツアザミはどの地域でも育てることが可能です。ノアザミの花の色は赤紫色のものが多くみられますが、白いものもあります。50cmから100cmほどに育ち、茎や葉にトゲがあります。花が終わるとタンポポのように綿毛を付け、種子を飛ばし繁殖します。

ノアザミが他のアザミと最も違っているのは開花時期です。一般的なアザミの開花時期は8月から10月で夏に開花しますが、日本に自生しているアザミの中でこのノアザミだけが春に開花します。秋になる前に花が終わってしまうのですが、まれに10月頃まで咲いている場合もあります。ちなみにドイツアザミは前年の秋に種まきをすると春に、春に種まきをすると夏に開花させられます。

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もうひとつノアザミが他と大きく違うのは、総苞という花の付け根の膨らんでいる部分です。アザミは大体どの種類もこの総苞が膨らんでいて総苞片はトゲのようになっています。その点は変わらないのですが、ノアザミだけは総苞に独特の粘りがあります。この総苞の粘りは、蝶や蜂のような花粉を運んでくれる虫以外の、蟻などといったただ蜜だけを食しに来る虫から防衛するためと考えられています。他のアザミにもあってもいいものですが、なぜだかノアザミにだけこの粘りがあるのです。

【まとめ】

ノアザミと他のアザミとの違いは、開花時期と総苞の特徴でした。アザミの中で一番早く春に開花するので、春に道ばたでアザミを見かけたらノアザミで間違いないでしょう。夏にそっくりなアザミを見つけたら、総苞をよく見てみてください。ノアザミであれば、総苞が粘っています。触らないとわからない、という場合もあるかもしれませんが、総苞片がとがっているので指に刺さらないよう注意してください。