アザミは、日本の野山や道ばたにも自生している赤紫色の花を咲かせるトゲトゲが特徴的な花です。春に咲いているアザミは、ノアザミという種類です。似ている花で同じ頃に咲いているキツネアザミという花があります。見た目もそっくりで同じアザミのように思いますが実はアザミとは違うものなのです。では、何が違うのでしょうか?その違いを比較し紹介します。
キツネアザミとアザミの違いは何なのか
ノアザミがキク科アザミ属に分類される多年草の花であるのに対し、キツネアザミはキク科キツネアザミ属に分類される二年草の花です。同じキク科ではありますが、細かな分類が違っています。キツネアザミの名前の由来は、かつての日本人がこの花を見てアザミとよく似ていながらアザミではないことから、キツネに化かされていると思ったことからだそうです。どちらも本州から九州、キツネアザミは沖縄でも自生しています。また、キツネアザミは日本へは古い時代に渡来したといわれており、現在は日本や中国の他にインドやオーストラリアにも自生しているようです。
分類だけでなく見た目にも違いがあります。ノアザミの花は一般的に赤紫色でまれに白色のものもありますが、キツネアザミの花は薄いピンク色をしています。花の大きさも違っていて、ノアザミが直径4cmから5cmなのに対し、キツネアザミは直径2.5cmほどと小さめの花を咲かせます。また、どちらも総苞片がとがっていますが、キツネアザミはノアザミほど鋭くなく、総苞片の先端が赤紫色に色づいています。ノアザミに見られる総苞の粘りはキツネアザミには見られません。極めつけは、ノアザミが茎も葉もトゲを持っているのに対してキツネアザミには全くトゲがないのです。
【まとめ】
春に咲いているノアザミとキツネアザミは、同じキク科でもアザミ属の多年草とキツネアザミ属の二年草という分類の違いがありました。同じアザミであるかと思うほど似ているにも関わらず、同じく春に咲くノアザミと比較すると花の色や大きさ、総苞片の特徴、トゲの有無などわかりやすい違いも多くありました。特徴を知っていれば見分けることは容易であると思います。薄いピンク色の小さな花を咲かせ茎にも葉にもトゲのないキツネアザミは、トゲが刺さって痛いノアザミと比べると柔らかい印象を与える花であると覚えておくといいかもしれません。