日本の野山でよく見るトゲトゲした花といえばアザミです。花の咲き方もまるで針山のような見た目のアザミにはよく似ているものがたくさんあります。一般的にアザミというとノアザミのことを指し、空き地や道ばたなどで見ることができます。このノアザミと見分けがつかない程よく似ているのがノハラアザミです。名前も似ていますが、このふたつの違いを比較してみましょう。
ノハラアザミとアザミを比較して見えてくる違い
ノアザミもノハラアザミもキク科アザミ属に分類され、茎や葉にトゲがあります。花の色もほとんど変わらない赤紫色で、総苞片がとがっていることや茎や葉にトゲがあること、花期になっても根出葉が残っていることまで同じです。本当によく似ていて、パッと見ただけでは全くと言っていいほど見分けがつきません。
ですが、このふたつにはきちんと違いがあり見分けることができます。まずは開花時期です。ノアザミは5月から8月に開花する、春の花です。まれに10月頃まで咲いている場合もあります。それに対しノハラアザミは8月から10月に開花する秋の花です。春に咲いているのはノアザミだけなので、花を発見した時期がいつであるかによって見分けることが可能です。
夏や秋に発見してどちらなのか微妙な場合にもきちんと見分けることができます。総苞の特徴が違っているからです。ノアザミの総苞には特徴的な粘りがありますが、ノハラアザミの総苞にはクモ毛があるので粘りがありません。また、ノアザミの総苞が球体で卵のように丸い形なのに対し、ノハラアザミの総苞は鐘のような形をしています。総苞の形から見分けるのは少々難しいかもしれません。他の部分をさらによく見てみると、ノハラアザミよりもノアザミの葉の方が細かなトゲが多いという点も違っています。こちらも並べて比べてみないとわかりづらいかもしれません。
【まとめ】
ノアザミとノハラアザミはほとんど見分けがつかない程よく似ていますが、開花時期と総苞、葉に違いがありました。ノアザミは春に咲く花で、ノハラアザミは秋に咲く花です。ノアザミがまれに秋まで咲いている場合もありますが、総苞に粘りがあればノアザミ、なければノハラアザミです。総苞の形や葉のトゲの数なども違っているので、じっくりと見比べる機会があればそういった部分も見ておくとより違いがわかるでしょう。