関東では、新緑の季節になると各地の庭園の水辺に、青紫色のカキツバタの花が一面に咲き誇っています。ここでのカキツバタの見頃や名所などを見ていきましょう。
【関東ではカキツバタの見頃はいつ?名所について】
カキツバタは湿地を好み、草丈30~70cm、花の大きさが10~20cmの濃い紫色の花を咲かせます。暑さ寒さに比較的強く、開花時期が5月~6月で、花が終わったあとは、休眠期に入ります。初夏の水辺に一斉に咲き誇る姿は、一見の価値があります。
カキツバタと言えば、国の指定天然記念物として日本三大カキツバタの自生地、愛知県刈谷市の小堤西池のカキツバタ群落が有名ですが、関東でカキツバタの名所と言えば、石神井公園でしょうか。ここでの見頃は4月下旬~5月下旬になります。
こちらの「三宝寺池沼沢植物群落」は小堤西池と同じく、昭和10年に国の天然記念物に指定されており、石神井公園の象徴でもあります。
しかし、高度成長期の昭和30年頃から都市化に伴う周辺の環境変化や管理不備により、一時はずいぶん荒廃していったとされています。平成に入ってから後、植物群落を維持する計画が進み、わずかに残った水生植物のカキツバタやハンゲショウなどを中心に再生され、現在は生育状態も安定するまでに回復をして来ているようです。
この三宝寺池の水源は、地下100mから汲み上げる地下水で維持されています。以前は、武蔵野大地の豊富な天然の湧水が溢れていたようですが、地下水が枯渇しないことを願うばかりですね。
もう一つ、「燕子花図」で有名な、東京都港区にある根津美術館にも、カキツバタの群生がみられます。弘仁亭の前にある池には、毎年4月~5月頃になると青紫色の凛としたカキツバタが咲き誇ります。それと同じ頃に尾形光琳の「燕子花図」の屏風も展示されますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
関東のカキツバタの名所と言えるのは都内に限られ、他ではあまり多くはないようです。平安時代から数多く和歌や俳句を詠まれ、親しまれてきたカキツバタですが、今は少し、減少傾向にあるのは淋しい事です。初夏の風にそよそよと吹かれている様子は風情があり、いつまでも残しておきたい景色ですね。