まずご理解していただきたいことは、植物の毒性成分のはたらきは様々なのです。 その植物に人や動物が触れたり摂食したりした場合、毒性の強いのものでは中毒症状、嘔吐、痙攣、炎症などの症状を起こします。それが時には命を落とすこともあります。弱いものでは苦味や酸味を感じるなどの軽度のものもあることを知っておきましょう。

ユリの花粉の成分と毒性について

ユリの花粉の成分を教えて

ユリの花粉は非常に粘り気の強いものの集合体がおしべに群がっているものです。受粉のはたらきをしてくれる昆虫が接触しやすいようにその構造をつくっています。

 

□人間の場合

ユリを食料として見なした場合には、致命的なほどに強烈な毒性をもつ種はあまり多くありません。古来より球根である「百合根」を今も食しています。また、昔からそういった有毒植物を加工して毒性を除去あるいは弱めることによって、食用・薬草として利用する知恵が人間にはありました。したがいまして有毒植物であるから無価値というわけでもありません。

 

□動物の場合

動物にとっては、何らかの害になる程度には食料として適さない種類が非常に多いです。植物は自身が移動することができません。すなわち、摂取者から逃避行動がとれないのです。したがって植物は化学防御が発達し、その毒の成分をつくりました。その毒は致命的な毒とはなり得なくとも、自身の摂食を免れるようになったと考えられているのです。

好奇心旺盛の猫や、愛犬にその化学防御された毒との接触を避けてください。

ユリは例え動物たちにいたずらされても生き続けることができます。命を絶ってしまうのは動物であると思ってください

 

□花粉の成分

ユリの特徴の一つである葯には、粘性のある花粉が 多く含まれています。難しい説明ですが、ユリの花粉は, 栄養細胞内に雄原細胞を内包している二細胞性 花粉であることがわかります。

葯(やく)が開く前では、半数性の栄養核と、2倍性の雄原核を含む花粉に加えて, 栄養核と半数性の雄原核を含む花粉が 混在しています。

ユリの葯(やく)は他の花の葯(やく)と比べると相対的に大きく、弾けて開くと、多くの花粉が飛散します。

ゆりの花粉の毒性を教えて

ユリの花粉の毒性は?

ユリは花のめしべが花の中央にあり、その周りに、6本のおしべがあります。そのおしべの先端についている楕円形の長細いのが葯(やく)です。その葯を取らずに置いておくと、黄色い花粉が出てきます。

ユリは全ての部分に毒性は強いのですが、この黄色い花粉は厄介者であり、衣類を汚したり、時には部屋の床や壁を汚します。また、1~2枚ほどの葉を犬や猫が食べてしまった場合は中毒を起こし、腎臓機能を停止させ、亡くなることもあります。現状では、ユリの毒を取り除く解毒剤はありません。

まずは「毒」というのを簡単に理解しておきましょう。

毒には、

・自然界に存在する天然の毒、動物毒のトキシン(Toxin)

・主に植物毒のアルカロイド(Allaloid)

・人が作り出した化学物質である人工的に作られた毒のポイズン(poison)

があります。

単に毒と言っても、生命や健康に害を与えるものだけでなく、逆に痛み止めを意味かる疼痛緩和や、漢方薬に含有されている緩下剤などのように、薬草として痛みや苦痛を軽減させる毒まで効能は様々です。                 ユリ科のように、植物の毒は、

・主として植物自体の中に含まれているアルカロイド(Allaloid)のように重要な生理作用、薬性作用を有するもの。

・配糖体グリコシド(glycoside)またはサポニン(Sapoin)等の、細胞質中に溶存するものは、悪い作用を及ぼすことがあったり、心臓を止める働きのある強心配糖体という成分を含む植物もあります。

植物毒の大半は、アルカロイド系です。

このアルカロイドというのは、動物の体内に入るとたいへん危険な神経ホルモンの活動を冒す神経毒となりますので注意が必要です。

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ユリ科の毒を摂取した場合の症状とは

ここで私たちの身近にあるユリ科の内、3種のユリの毒を万が一口にした場合の症状をお伝えします。

□ ユリ (テッポウユリ・スカシユリ・カノコユリを含む)

・嘔吐

・下痢

・胃腸障害

・視力障害

・呼吸困難

・手足のしびれ

・循環器不全

・全身麻痺

・絶命

 

□ スズラン

・嘔吐

・下痢

・腹痛

・徐脈

・不整脈

・心不全

 

オニユリ

・嘔吐

・下痢

・脱水

・胃腸障害

・視力障害

・呼吸困難

・手足のしびれ

・循環器不全

・全身麻痺

・絶命

【まとめ】

以上、申し上げましたとおり、ユリのすべての部分がユリ自身、身を守るために「化学防御」という毒物をつくりあげました。普段は鑑賞に、お祝い用にユリの花は私たちの生活に溶け込んでいます。野山に足を運ぶと野生のユリが咲き誇り、何とも言えない芳醇な香りを放つユリも見受けられます。しかし何よりも、ユリ科の植物は、重度・軽度を問わず、毒性があることを忘れてはなりません。