高貴の花、情熱の花と言えばバラ。恋人への愛を誓い、また西洋文化を表現する上で欠かせない花のイメージですが、古くから日本にも自生している花で栽培されてきました。主に明治時代以降に西洋文化とともに流行し現在に至り、その美しさ、おくゆかしさはもちろん、香りなども私たちを魅了し続けています。栽培する上でも日本の風土に適しているのですが、温暖な気候ならではの害虫も存在します。特にバラの天敵、ハダニについて時期、原因、対処を紹介していきます。

バラ ハダニ 時期

ハダニが繁殖・活動しやすい夏

ハダニは気温25°前後、乾燥を好む害虫です。主な時期としては、初夏の5月から初冬11月中旬にかけてですが、雨露や湿気を受けないハウスや室内で育てる場合はこの限りではありません。夏の暑さで乾燥した状況下で葉裏に寄生し増殖します。葉に寄生しながら養分を吸取り育成を遅らせるだけでなく、バラに必要な光合成の邪魔をしてしまうことで育成不良、やがては株自体を腐らせてしまうようになります。砂粒よりも小さく、肉眼で見るのは困難です。葉に元気がないようであれば葉裏をしっかりと確認してみましょう。

バラに付いたハダニの原因・対処

ハダニ繁殖の大きな原因は、高温乾燥状態です。夏の暑さで葉や株の水分が蒸発した状態が続く事でハダニが活動しやすい環境となってしまいます。非常に繁殖力が強く、放っておくとあっという間に広がってしまうので、雨や湿気を受けない室内などは特に注意が必要です。その他の原因として、乾燥した落ち葉、枯れた花びらや、根元に生えた雑草等に潜み、そこから繁殖することがあります。

症状は、バラの葉の色素が薄くかすれたような色になります。ハダニは主に下から上へと増殖していくので、根元に近い下の葉の色がかすれていないか、葉裏にハダニが潜んでいないかをルーペでチェックしたり、根元部分は清潔にすることで未然にハダニの危険性を取り除くことができます。

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ハダニの弱点は水分です。朝夕一日2回ほど霧吹きでこまめに水を噴霧したり、水圧のあるホースで葉裏からハダニを吹き飛ばしたりするのが効果的です。またコーヒーや酢など自然由来の安全性の高い農薬を使うことで比較的軽装備で、初期のハダニの繁殖を抑制することができます。繁殖が広がってしまっている場合、殺ダニ剤での対処も出来ますが、根気と計画性が必要となるので、早期発見に努めて株への影響を最小限にしましょう。ハダニが蜘蛛の巣上の糸を張り巡らせ、葉の色素が薄くかすれてしまっている場合は手遅れの可能性が高く、他の株に影響を出さないよう処分をおすすめします。

【まとめ】

昨今の日本の温暖な気候は、涼しい夏を好むバラにとっては害虫の影響も含め、あまり都合の良いことではありません。美しいバラは虫にとっても魅力的なのかもしれませんが、せっかくのバラの花を気高く咲いてもらうためにも、日頃の観察とメンテナンスを怠らないようにしましょう。