ユリの原種は全部で100種類ほどです。そのうち15種類は日本で見ることができます。しかも7種類は日本の固有種です。
日本で見ることができる原種ユリ
日本で見ることのできる原種ユリのうち、もっとも有名なのはおそらくテッポウユリでしょう。テッポウユリは沖縄や奄美諸島が原産で、筒型の純白の花が横向きに咲きます。聖母マリアのような清純さと気品をあわせ持つテッポウユリは冠婚葬祭に使われることも多い品種なので、「ユリ」といえばテッポウユリを思い浮かべる人も多いと思われます。
ササユリの学名はずばり「Lilium japonicum(日本のユリ)」、その名の通り日本を代表する原種ユリです。市や町の花をササユリにしているところも多いようです。ササユリの花は長さ10cmから15cmくらいで淡いピンク色です。中部地方から九州地方といった、比較的暖かい一帯に自生しています。
ヤマユリは、本州に生えている日本原産の大型ユリです。ゴージャスな花を咲かせるので「ユリの王様」と呼ばれています。白地に黄色の筋と褐色の斑点がよく映える花の直径は、20cmほどもあります。
オニユリは、もともと食用(球根の部分を食べる)目的で中国から輸入された外来種です。北海道から九州まで広い地域に分布していて、オレンジ色に褐色の斑点が付いた花が印象的です。オニユリは種の代わりに、ムカゴと呼ばれる黒っぽい紫色の丸い芽を付けます。
カノコユリは国内では九州や四国、国外では台湾などに自生しています。下向きに咲く花にはチャームポイントの濃いピンク色の斑点があって、花びらが外側に向かってくるりと曲がっています。
スカシユリは、中部地方より北の海岸沿いで見かけます。上向きに咲くラッパ状の花が特徴です。市場ではさまざまな色のスカシユリを売っていますが、原種はオレンジ色の花だけをつけます。
オトメユリは絶滅危惧種に指定されている希少品種で、宮城県南部・新潟県・福島県・山形県の山間地にひっそりと生えており、小ぶりなピンク色の花を咲かせます。
【まとめ】
以上、日本に自生する原種ユリのうち代表的なものを紹介しました。
日本はさまざまな原種ユリが自生する、ユリの宝庫とでもいうべき地域です。
複雑な品種改良を経て生まれた園芸種も素晴らしいですが、シンプルな原種ユリも、おもむきがあって素敵です。