トゲトゲとした玉のような赤紫色の花を咲かせる植物といえばアザミです。野山や道ばたで春から秋にかけて様々な種類を見ることができます。そのアザミと花の形や色がよく似ているタムラソウをご存知でしょうか。よく似ていますが実はアザミとは違った種類の花です。今回はアザミとタムラソウの共通点と違いについて紹介します。
タムラソウとアザミの共通点と違い
アザミはキク科アザミ属の花ですが、タムラソウはキク科タムラソウ属の花です。同じキク科ではありますが分類が違っています。どちらも日本の本州、四国、九州に自生しています。アザミはその他に北海道に多く自生するタカアザミや沖縄に自生しているシマアザミなどがあります。タムラソウは日本の他に朝鮮半島にも分布しています。もちろんアザミにも朝鮮半島に分布しているものがあります。タムラソウは秋に花を咲かせます。アザミはノアザミのみが春に花を咲かせ、それ以外は夏から秋が開花時期です。ノアザミが春の花で他のアザミは夏の花、タムラソウが秋の花という認識が一般的なようです。アザミもタムラソウも、50cmほどから大きなもので1.5mにまで成長します。
明確に違う点として、トゲの有無です。アザミには茎や葉にたくさんのトゲがありますが、タムラソウにはトゲが一切ありません。葉の形が似ていたりもしますがよく見るとトゲがないのでタムラソウであると判断できます。アザミに似ておりタムラソウと同様トゲがない花でキツネアザミがありますが、キツネアザミは春に咲く花で開花時期が全く異なっているのでタムラソウと間違えることはないでしょう。
他にも違いがあります。タムラソウは茎から枝分かれして花を咲かせ、総苞片がアザミのように広がっていません。もっと細かく見てみると、タムラソウの花の管状花の先端がふたつに分かれていて丸く反り返って咲いています。この部分もアザミとは明確に違っているようです。
【まとめ】
アザミはキク科アザミ属、タムラソウはキク科タムラソウ属で種類が違っていることがわかりました。このふたつは花の色や形、背丈などの見た目も本当に似ています。タムラソウの開花時期は秋なので、他のアザミと同時に咲いていることがあります。はっきりと見分けたい場合は葉を見てみましょう。アザミの葉にトゲがあるのに対し、タムラソウの葉にはトゲがないので一目瞭然です。茎や総苞片、花もよく見ると違いがあるので、タムラソウを見つけた際には他のアザミと見比べてみるとよりわかりやすいかもしれません。