バラは古代から栽培が続けられている植物なので品種改良の歴史も大変長く、現在世界には4万種類以上のバラが存在しています。そのうち原種のバラは200種類ほどが、アジアからヨーロッパにかけての北半球に自生しています。(南半球にはバラの原種は自生していません。)

これらの原種を系統立ててまとめ直すと、現代の園芸種のバラの先祖は8種類の原種にたどり着き、しかもそのうちの3種類(ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナス)は日本原産であることがわかります。

 

日本生まれの薔薇の原種

薔薇 日本 原種

日本原産のバラの原種のうちノイバラ(ロサ・ムルティフローラ、Rosa multiflora)から、園芸用のバラのうちフロリバンダ系統(1本の枝に複数の花を付ける房咲きの品種)やミニバラの系統が生まれています。

ノイバラは日本(沖縄を除く)に自生する最もポピュラーなバラの原種です。朝鮮半島でも見かけます。5月下旬には、直径3cm弱の白い一重の花が20個くらい房状にまとまって咲きます。秋になると赤い実をつけます。

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またテリハノイバラ(ロサ・ウィクライアナ、Rosa wichuraiana)は、つるバラの先祖です。

テリハイノイバラは本州のかなり北の方まで自生しています。繁殖力旺盛で茎が地を這うように長く伸び、葉はノイバラと異なり光沢があります。6月下旬にノイバラよりやや大きい直径3.5cmくらいの白い花をつけます。

ハマナス(ロサ・ルゴサ、Rosa rugosa)も、耐寒性など優れた性質のため、多くのバラの品種改良に利用されています。

ハマナスは、東アジアの温帯から冷帯で見ることのできる低木です。日本では北海道から本州の茨城県、鳥取県のあたりにかけて、海岸の砂地で自生しています。直径約10cmの紫色がかった濃いピンクの花は、5月から8月にかけて開花して、秋になると赤い実をつけます。

 

まとめ

日本に自生する原種のバラのうち、現代のバラの品種改良にも用いられている最も代表的な3種類のものを紹介しました。

しかしこれら原種のバラは、開発などによる生育環境の変化があったり、ときには雑草とみなされて刈り取られるなどいうこともあったりして、今では見かけることも少なくなっています。中には絶滅危惧種に指定されているものもあるようです。

素朴で可憐な花を咲かせる原種のバラが日本から本当に絶滅することがないようにと、願うばかりです。