ゆりは秋植えの球根植物のひとつで、種類は世界で100種類ほどあるといわれています。そのなかで15種類が日本に自生しています。ゆりは繁殖力が強く、その増やし方は5種類あります。一般的なものが球根を堀り上げ分割する分球繁殖、地上に出ている茎の筋につくムカゴで増やすムカゴ繁殖、子球につく木子繁殖、野生に多い種子繁殖。そして大量に球根を増やす鱗片繁殖です。いずれも2~3年くらいで開花します。
ここでは、ゆり独自の鱗片を用いた鱗片繁殖によって球根を増やしていくやり方をとりあげたいと思います。
【ゆり独自の球根の増やし方。鱗片の繁殖力】
ゆりには、他の球根にはない独自の増やし方があります。それが鱗片繁殖です。ゆりの球根は鱗片の集合体で出来ており正式名称を「鱗茎」といいます。短縮した茎に厚い葉が密に着いた球根のことです。この厚い葉を「鱗片」と呼びます。鱗片を土に挿すことによって、繁殖させることを、鱗片繁殖といいます。
球根の増やし方のなかで、鱗片繁殖は一度に大量に繁殖をさせることができます。また、分球のように子球ではなく親球と同じ質の球根が増えます。
そのやり方ですが、もっとも適期といわれている9月に球根を掘り上げ、病気にかかっていない球根だけを使います。一枚ずつ鱗片を剥がしていき、一番外側は病気にかかっていることがあるので通常は使わず、もっとも増殖に適している2週目以降を土へ挿していきます。
バーミキュライトなどの無菌の土が入った平鉢に鱗片の切り口を下にして半分ぐらいまでを入れましょう。鱗片を挿していく間隔は5~6センチくらいとります。
冬の間は10度以上を保ち屋内で管理をしましょう。2~3ヶ月経つ頃に鱗片の切り口から球根が出てきます。春になるとそこから葉が出てきますので、球根を一つ一つはがして植えつけていきます。その際ウィルス病にやられないため、消毒をしてから行うようにします。
【まとめ】
ゆりは繁殖力の強い球根植物のため様々な増やし方があり、これから球根栽培に興味を持ち始めたばかりの初心者の方でも、比較的取り掛かりやすい植物といえるでしょう。開花するまでが2~3年と少し長いように感じますが、最近では一年足らずで開花する新種も見られるようになりました。効率よく増やして、たくさんのゆりを咲かせましょ