今か今かと待っていた暖かい春が来ると、お家の庭や野山で見ることが高いスズランの花ですが、上品な香りはもちろん、美しい姿も兼ね備えており、女性の中でも人気が高い花です。世間一般ではスズランとしてその名が通っていますが、実はスズランは別名が多く存在しています。
では、別名の中でも「君影草」というのは、どういった由来があるのでしょうか?
スズランは君影草という?その由来とは?
あまり馴染みがないかもしれませんが、実は「君影草」というのは、割と別名としてはよく知られた名前です。
その由来としては、葉の陰に隠れながらも、しっとりとした白い花を咲かせているということで、つけられています。
また、男性よりもでしゃばることがなく、ひっそりとよりそう姿が、日本古来の女性の姿のイメージとして重なっているため、そのような名前がつけられたとも言われております。
他の別名では、「谷間のゆり」や「聖母の涙」といわれていますが、いずれも純粋で清楚なイメージがつく名前が多いです。
「鈴蘭」というだけでも十分きれいな響きをもつ名前ですが、「君影草」と名前をつけたのには、やはりそれだけでは物足りない気持ちになったのでしょうか。
たしかにじっとスズランを見てみると、花びらは小さいけれど、可憐に咲いています。だけれども、自分の美しい姿を主張することなく、恥じらいでもあるかのように、うつむいてもいます。
そんな姿が、君の陰というように面影をしっかりと残している花です。
なにがあろうと、ひたすらにあなたを待ち続けています。そんな心境を受け取れる様子が「君影草」という異名がついたのかもしれません。
「君影草」の花言葉は、幸せが戻ってくるという意味を表しています。ただ待っているだけで終わってしまっては、可愛そうということで、そのような花言葉が存在したのではないかと言われています。
そういった花言葉にちなんで、フランスでは5月1日にスズランを贈ると、贈られた女性に幸せがくるようにと言われています。
まとめ
スズランという名前はなじみがあるので、その名を聞いただけでどういった花かは想像できると思いますが、「君影草」といわれても、それがスズランだと理解できる人は少ないかもしれません。
ですが、万葉集でも使われるその詩情あふれる名前が、伝統的な女性をイメージするのにぴったりとあてはまり、よりその情景がみてとれるのかもしれません。