アザミはとても繁殖力の旺盛な植物として知られます。多年草で、芽が成長していくと冬の時期は一度枯れますが、またその翌年の同じころまでには1年目より大きな株へと成長します。

では、株だけでも大きく成長するのに、種子を綿毛にして広く散布させる理由とは何でしょうか?ここでは大輪の花を咲かせる種類のアザミであるフジアザミの例を挙げて紹介していこうと思います。

アザミ 種子 散布

アザミが種子散布する理由は地形に関係している?

フジアザミは多年生草本植物で、歳を重ねるごとにカブを大きくしていきます。その大きさは根生葉(ロゼットと呼びます)ひとつをとっても長さは60cmから70cmにもなり、幅は20cmで放射状に広がった1つの株は直径1mをこすこともあります。また根の成長が早く、最大で1m以上、太さも直径7cmから8cmまでになりますから、野球のバットと同じくらいにまでなります。

フジアザミはその名の通り、富士山を中心に日本列島中部の低山帯から亜高山帯や中部山岳地帯の亜高山帯に広く分布しており、他にも人為的な攪乱により裸地が生じた地域や崩壊地、河川敷、雪崩跡地にまで分布しています。その根の姿や性質から「砂礫地に杭を打つ」と言われます。

さて、話は戻りそんなフジアザミの種子についてです。アザミ属の中では最大の花をつけるフジアザミはたくさんの種子をつけ、その種にはパラシュートのような冠毛が付くわけですが、これにより風や上昇気流に乗って何キロメートルも移動することが出来ます。

フジアザミが分布している富士山はスコリア層(主に玄武岩質のマグマが固まってできた多孔質の層のこと)の斜面を持ち、表面の礫が移動しやすいですし、他の火山や雪崩などで出来た裸の斜面は植物が定着するまでに時間が掛かります。そんな荒れた斜面でもいち早く定着できるフジアザミは、種子の発芽率が高く、また種子をたくさん作り根が早く成長する上に大きくて強いため、動きやすい斜面に杭を打つように根を張ることが出来ます。

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これらの性質…つまり、種をたくさん作り、かつそれを風に乗せて飛ばすことが出来、発芽しやすく根の成長も早い性質から、裸地に最初に定着できる「パイオニア植物」と呼ばれます。フジアザミは群生して山の斜面の安定に強力な役割を担うことが出来るのです。

【まとめ】

アザミの種子が風に乗って散布する理由には種類によっても変わってきますが、その理由の多くが沢山の場所に種を運ぶことです。また、山のような急斜面で留まるのには過酷な環境でもその繁殖力の強さをいかんなく発揮する為でもあるのですね。