日本で親しまれているスミレは野山だけでなく、街中でも普通に見ることができます。
でも、舗装の隙間など庭の隅など思わぬところからスミレが顔を出しているのを見たことはありませんか?
あのスミレの種はどうやって運ばれているのかと言うと、実はアリが運んでいるそうなんです。
そこで今回の記事では、スミレの種を運ぶアリについて説明したいと思います。
スミレの種はアリが運んでいる?
スミレの種は時期が来ると、殻に圧迫されてはじけ飛ぶそうです。
そのはじけ飛んだ種をアリが巣に持ち帰るため、舗装の隙間などの思わぬところからスミレが咲くことがあるという訳です。
スミレの種は自分で弾け飛ぶだけでもかなりの距離を飛びますが、さらに遠くへ散布するためにアリを利用すると考えられています。
なぜ、植物の種子をアリが運ぶのかと言うと、スミレの種にはエライオソームと呼ばれる独特の器官が付いており、このエライオソームが出す匂いにつられて自分の巣の中へ種を運び込むと言われています。
アリは巣に持ち帰った種子からエライオソームを食べ、残った種子は巣の外に出されるそうです。そしてそこで発芽するとされています。
スミレの種は人間から見ると小さなものですが、アリにとっては大きく運ぶのも大変だと言われています。
しかし、エライオソームは種にしっかりと付いており、その場でそれだけを食べると言うのは難しいようです。
そのため種を巣に運ぶのですが、アリはエライオソームの部分をくわえて種を運ぶそうですから、エライオソームには種を運びやすくする役割もあるのではと考えられます。
このようにスミレはアリを利用した生存戦力を行っていると言われています。
さらにスミレにはもう一つ戦略があり、春に咲く花とは別に閉鎖花と呼ばれる開かない花を付け、自家受粉で結実し、虫の助けを借りずに身を実らせるそうです。
これだけでも充分に子孫を残すことができますが、開放花を咲かせることで他のスミレの遺伝子を取り入れ、多様性を保ち、様々な環境の中でも生き残れるようにしていると考えられています。
まとめ
植物に詳しい方には知られていることのようですが、スミレは虫媒介で受粉し、さらに種をアリに運ばせるという、虫をうまく利用した生存戦略を行っているそうです。
思わぬところから咲いているスミレは、アリが運んでいたのですね。
機会があったら、弾け飛んだ種をアリが運ぶ様子を観察してみると良いでしょう。