古くより馴染みのある、日本を代表する花木である椿。江戸時代より多くの園芸種が作り出されてきました。光沢のある緑の厚い葉を持ち、鮮やかな赤、白、ピンクの花弁は、江戸の人たちを魅了したことでしょう。椿園芸が盛んになった江戸時代から今日まで、数々の品種改良を経て、数千種あると言われる品種の多さは、世界中の愛好家たちを楽しませてくれます。
花びらの色、花びら模様、花形や咲き方まで、実に多くの種類が春を彩ります。一重咲き、八重咲き、獅子咲き、千重咲きなど様々な花形がありますが、ここでは牡丹咲きについてご紹介します。
椿の牡丹咲きとは
一重咲き以外の花形に、八重咲きという花形があります。花びらが9枚以上あり、中心に正常な形の雄しべがあります。牡丹咲きはこの八重咲きの花の中心で大小の花びらと、数個に分かれた雄しべ群が不規則に混じり合った花形のことを言います。
特に欧米諸国で高い人気のある花形です。中でも光源氏、京牡丹、酒中花、御所車などの品種が人気です。他には島の錦、神楽獅子、黒部、錦麒麟、舞吹雪、薩摩曙、隼人舞、舞臘月など、さらにたくさんの品種があります。
野生の椿の花弁数は5〜6枚前後です。園芸上は8枚までを一重咲きと言います。本来、椿の花は八重化しやすい性質を持ち、花びらが増えたり、雄しべの形も変化しやすい特徴があります。こういった変化は、春の開花までの長い育成期間のなかで、気候や土壌、水分などの諸条件によって影響されます。そのため、品種によって花形が一定ではなく、多様な変化が起こります。
まとめ
椿は日本生まれ日本育ちの花木です。当然ながら日本の気候や土壌には適しています。日本で発達したものをもとに海外に広がっていき、今では日本と海外の品種合わせて約6000種を超えると言われています。赤、白、ピンクの花びらが基本ですが、最近では黄色の花びらの椿もあるようです。
海外から逆輸入された品種も日本で栽培されるようになりました。椿は日当たりや風通しの良い場所を好みますが、痩せた地や乾燥した場所、耐陰性に強い種類もあります。このため、気候や土壌に合わせた多様な栽培が可能です。