バラは、ほかの植物と比べて害虫を呼び寄せやすいといわれています。害虫があまりにも多くて、バラ栽培を断念したという話も少なくない様です。バラ栽培者の中で最も多いのが「毛虫の被害」だといいます。毛虫はバラだけでなく、人にも害を及ぼす様なので、駆除は避けられないといわれています。これから、バラにつく毛虫とその駆除について調べます。
【バラの毛虫の種類】
「毛虫」とはどの様な個体を指すのでしょう。毛虫とは、一般的に「チョウ」や「ガ」の幼虫を指す様ですが、体が毛(刺=トゲ)で覆われている個体を「毛虫」と呼ぶ様です。その中でも、バラに被害を及ぼす「害虫としての毛虫」は、それほど多くはなさそうです。
・ドクガ
夏に大発生をするサイクルで、おおむね8月はドクガの被害と駆除に追われるとい
われています。生え際に近い短い毛に毒があり(毒針毛=ドクシンモウ)、抜けやすく、脱
皮ガラや亡骸、抜け落ちた毛にまで、その影響力が残っているそうです。
・ヒメシロモンドクガ
ドクガの仲間の様ですが、ドクガの発生時期を挟んで温かい地域では年に3回あり、冬を除いて日常的に目にする様です。バラの葉を餌としている様ですが、群れで見ることがない様です。漢字では「姫白紋毒蛾」と書く様ですが、毒はないといわれているのが一般的の様です。
・チャドクガ
一般的に「チャドクガといえば、ツバキ(サザンカ)」といわれるほど毒蛾の中では有
名です。チャドクガは、バラにもつくそうです。発生時期は春と秋といわれ、1年に
2回も被害と駆除に追われる場合があるといわれています。
・イラガ、ヒロヘリアオイラガ
イラガには多くの種類がある様ですが、栽培者にとって身近な種類は、「イラガ」と
「ヒロヘリアオイラガ」だといわれています。
イラガ:年に1度、夏頃が最も多く発生する
ヒロヘリアオイラガ:初夏と晩夏の年2回が最も多く発生する
どちらも葉の裏に卵を産み、毛虫も葉の裏にいるので、葉の裏に注意することが大
切だといわれています。
・マイマイガ
孵化した毛虫は、バラの葉を餌として食べる様です。そのままにしておくと、丸坊
主にされてしまうほど食欲は旺盛とのことですから、早めの対応が求められるそう
です。
・クワゴマダラヒトリ
バラの葉を餌とし、そのままにしておくと葉は全部食べられてしまう様です。葉の
裏ではなく、枝や葉の上にいる様ですから見つけやすいといわれています。春と秋
の年2回が発生時期で、毒は持っていない様です。
[バラの毛虫の駆除方法]
バラに害を与え、人にも被害を与える毛虫の駆除に効果が期待できるといわれている駆除方法は、手作業から薬剤散布まで様々ある様です。
・手作業で駆除する
①「長袖」、「長ズボン」、「手袋」、「マスク」、そして、状況に応じて、「ゴーグル」な
どで完全武装
②袋を片手に、箸やピンセットなどで挟んでは袋に入れる
③袋の口をしっかり閉めて処分
中には、毛虫を見つけては、毛虫を餌とする別の昆虫や生き物に食べさせる栽培者
もいる様です。また、野鳥を呼び込むエサ台を設置して、鳥に駆除させる栽培者も
いる様です。この方法は、薬剤を使わないので、「自然に優しい方法」といえそうで
す。
・薬剤を使う
毛虫の発生数があまりにも多く手作業では手に負えない場合は、薬剤に頼ることも
1つの方法だといわれています。
①オルトラン粒剤:白色の粒錠で、指示された分量を直接まく
・オルトラン粒剤は、①前以てバラを植え付ける前に土と混ぜておく、②バラを植
え付けたあと、土を被せ、最後の仕上げにオルトランを根元にまくなどの方法が
ある様です。①では、毛虫が集まる前からの対策になることが期待され、②では、
毛虫が付いたその時に対処するよりも、効果が上がることが期待されている様で
す。
②オルトラン水和剤:白い粉上で、指示された分量を希釈
・オルトラン水和剤は、霧吹きなどでバラ全体に吹き付けることで葉や茎から薬剤
が浸透し、毛虫の駆除に効果が期待できるといわれていて、毛虫に直接吹きかけ
るタイプではない様です。
③アタックワンALバラ用
・アタックワンALバラ用は、薄めることなく直接吹きかけるスプレータイプの様
です。毛虫を見つけた時だけではなく、多少の持続性もあり、薬剤を使ったあと
についた毛虫にも効果が期待できるといわれています。ただし、バラの花びらに
薬剤がかかると、色が悪くなる可能性がある様です。
④ベニカJスプレー
・ベニカJスプレーは、高い場所にいる毛虫にも直接、薬剤をかけることにより、
すぐに効果がでることが期待でき、そのあと約1週間も効果が続くことが期待で
き、さらに、その間に発生した毛虫にも効果が期待できるといわれている様です。
⑤意外にも効果があると噂される方法
・キンチョール(ゴキブリ用はさらに強力):
「毛虫は、蚊やハエ用のキンチョールでも、十分、駆除できます」という栽培者の
体験談も多い様です。ゴキブリ用になると、見る間に毛虫が落ちてくる様です。
ただし、「自己責任でお願いします」ということです。
・石鹸水:
石鹸水は、自宅の台所用洗剤を薄めて作る様です。毛虫に直接吹きかけると良く
効く様ですが、何もいなくても吹いておくと効果が期待できるといいます。この
方法は、あくまでも自己責任でお願いします。
・重曹水
重曹水を作り、バラの葉や茎に吹きかけると、毛虫予防になるそうです。塩害を
招く可能性があるので注意が必要です。この方法は、あくまでも自己責任でお願
いします。
【まとめ】
オルトランは、毛虫などに効果が期待できるものの、ほかの鳥や生物には影響が少ないことで、人気があった様です。ですが、販売されてからの歴史が古く、「耐性を持った毛虫も現れた」との栽培者の声も少なからずあり、期待した効果に陰りが見える場合があるということでした。毛虫にも耐性ができることが分かりました。
薬剤を使う時の注意としては、自分の体を考えて、「長袖」、「長ズボン」、「手袋」、「マスク」、そして、状況に応じて、「ゴーグル」などは必要だと思いました。
「意外にも効果があると噂される方法」は、正規の使用方法ではない上、自然に影響がでるかも知れない方法の様に感じますので、やはり、自己責任が良いと思いました。
何より1番多いのは、毎日の見回りで毛虫の駆除をしている栽培者が多く、結局は、見つけるたびに駆除するのが良い様に思いました。