毎年早春になると可憐な花を咲かせる水仙。花をよくよく見てみると、他の花にはあまり見られない、個性的な形をしています。品種によってもその見た目は大きく違いますが、実は基本的な構造はどれも同じものなのです。

今回は、水仙の花の構造について、詳しく解説していきたいと思います。

水仙 花 構造

水仙の花のおもな構造

水仙が成長すると、葉の間からつぼみの元となる部分(花茎)が伸びはじめます。完全に伸びきると、つぼみはうつむくように横向きに倒れ、そのままの状態で花を咲かせます。

開花した水仙の花には花びらが6枚ついています。実はこの花びら、6枚のうち3枚は花びらではありません。よく見ると水仙の花びらは上下2段構造になっており、このうち上段の3枚が「花弁」、下の3枚が「がく」なのです。全く同じ見た目をしているので、ぱっと見は花びらが6枚ついているように見えますね。

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おしべとめしべの周りを囲うようにあるお椀のような部分には、「副花冠」という名前がついています。「花冠」とは花弁の集合体のことで、副花冠は花冠の一部が変形してできたものであると言われています。この副花冠は、水仙以外の花でも持っている部位ですが、水仙はこの副花冠が特に大きく発達しており、さらに品種によってさまざまな大きさや形に変化します。水仙の魅力を語るためには欠かすことのできない部分です。

副花冠の中にはおしべとめしべがありますが、このおしべとめしべは、水仙の遺伝子の構造上の理由により、受粉してもうまく種子を作ることができません。このため、水仙は種子で増やすことが難しいのです。その代わりに、球根を分裂させて新しい球根を生み出す、という方法で簡単に増殖することができます。自分のクローンを作って増える、と言うとイメージがつかみやすいでしょうか。

【まとめ】

水仙の花の独特の構造について解説しました。他の花にはあまり見られない特徴をたくさん持った水仙の花。園芸植物としてたくさんの品種改良がおこなわれ、その見た目も品種ごとに個性があり、私たちをおおいに楽しませてくれています。水仙の花を見る機会があったら、ぜひじっくり観察してみてくださいね。